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小説の創作と日々思うことをつらづらと。
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   深夜。どこにでもあるファミレスの一卓。店の隅に追いやられた喫煙席の壁には鏡があり、自分たちを鮮明に映す。
  泣いている彼女を目の前にしても、特に動揺することはなかった。彼女の涙に色っぽさを感じることも、悲しみの深さを推し量ろうとすることもない。ただただ彼女を見、そして言葉に耳を傾け、そこから嘘を掬いあげようとしていた。
浮気をする女、それを浮気相手から明かされる男。
彼女に連絡を取ると拍子抜けするくらいあっさりと認め、話を聞いてくれと呼び出された。深夜の店内は客も少なく、彼女の過熱する声の調子が隅から隅まで響き渡る。コーヒーのおかわりを促しにも来ないウエイトレス達の囁きが、彼女の声と同じくらい大きく頭の中で想像される。はっきり言って迷惑だった。終始吐き出される言葉は相手の強引さを掘り返し、目に映った酒の度数を詰り、自らの落ち度は断ることができなかったことだけだと主張する。彼女の言葉一つ一つが自分の心を冷たくしていくのがわかる。答えは決まっていたのかもしれない。
頼んだコーヒーのカップが冷め、数十本目のタバコが灰皿に押しつぶされた時、別れの言葉を受け入れた彼女が席を立ち去った。深夜の拷問とも思えた時間は終わり、目が霞むので目薬を点した。ふと見た鏡に映る姿は泣いているようだった。
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